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● 有限会社 トマタニ構造設計の構造Q&A(2ページ目)

今回は地震に強いマンションのポイントについて、構造設計一級建築士の目線からお答えさせて頂きます。


6. 地震が起こったときに気をつけたほうがよい共有スペースを教えて下さい。
例 エレベータホール、屋上、非常階段

ポイント1: 1階の短辺方向に壁のない構造(ピロティ柱:特に1階が柱のみ)は、気をつけた方がよい。
ポイント2: 揺れが収まるまで住戸内にいる。外部避難階段が鉄骨造の場合、建物本体との接合部が破断する場合があるので、鉄骨製の避難階段の使用は避ける。又、エレベータホールが建物本体の外にある場合は揺れが収まるまで近づかない方がよい。






7. 耐震構造、免震構造、制震構造の特徴と、メリット、デメリットを、一般人(このようなことばを始めて聞くような人に)がわかるように教え下さいますか。
耐震構造:国内にある全ての建物が一定の耐震構造(国の耐震設計基準による)となっています。その中で免震装置、制震装置のついていない建物の総称として「耐震構造」とよんでいます。国内にあるほとんどの建物が「耐震構造」となります。

免震構造:「耐震構造」より、建物(柱、梁、壁など)が受け持つ水平方向の耐震強度を低減し、地震のエネルギーを免震層に集中させるための装置を取り付けた構造です。この構造では地震時の揺れは小さくなります。
【メリット】揺れが小さいため、家具の倒壊や建物(仕上げ材を含む)が被害を受けることがほとんどない。地震に対して安心感がある
【デメリット】免震装置は高額なため、建設費が高くなる。又、強い地震を受けた後は免震装置の修理、メンテナンスに別途の費用がかかります。分譲マンションの場合は修繕積立金が高くなります。

制震構造:建物が受け持つ水平方向の耐震強度は「耐震構造」と変わりませんが、地震による建物の変形を小さくするための装置を取り付けた構造です。この構造は主に超高層建物に取り付ける場合が多く、一般の中高層マンションでは見られません。
【メリット】高層階の揺れをある程度抑えるため、家具の倒壊や建物(仕上げ材を含む)が被害を受けることが少なくなります。揺れによる被害の低減ができる。
【デメリット】通常の耐震性能に加えて制震装置の費用が追加されるため、建設費がやや高くなる。






8. 7に関係すると思いますが、地震に関する法律を教え下さい。
建築物の耐震設計は国の耐震設計基準(建築基準法等)で決められておりますが、阪神大震災の後、1995年(平成7年)12月に「耐震改修促進法」が制定されました。この法律は昭和56年6月以前に設計が完了した建物に対して、耐震診断、耐震補強計画を促進するために作られました。中古マンションを購入する又は借りる場合は、昭和57年完成と、それ以前の場合では、法律で定める建物の耐震強度が異なることから注意する必要があります。
当然、昭和57年以後に完成した建物の方が安心できます。但し、昭和57年以前の完成であっても耐震補強工事が完了している場合は、昭和57年以後の建物と同等となります。






9. 地震に強い構造、弱い構造を教えて下さい。
例 1階部分が駐車スペースで空洞になっているなど

地震と建物強度の関係は地盤によっても異なるし、個々の建物でも異なるため、一般的には「地震に強い構造」「地震に弱い構造」の線引きはできません。個々の建物について構造設計図、構造計算書や耐震診断報告書等で判断します。但し、昭和57年以前に完成した建物の中には現行基準で完成した建物より耐震強度が低い場合が多々あります。






10. マンションを借りるときに、施工業者が信頼できるかどうかを見分ける方法はありますか。
一般的には見分ける方法はないと思います。世間の評判、過去の施工実績、会社の規模等を専門家に聞くことがよいと思います。




続いて 構造Q&A3ページ目 をご覧下さい。


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